短編夢部屋
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鬼畜な婚約者シリーズ・
彼女以外を欲しいと思ったことなんてない
ましてや、彼女の二番目なんてもっての他だ
「好きなんです。お願いしますっ」
「知っていると思うが、私には婚約者がいるんだ。君と付き合えるわけはないだろう?」
「っ・・・二番目でもいいんです!・・か、身体だけの、関係でも、私はっ・・」
「・・・キミのどこがいいのか、私にはさっぱりわからないな。」
「え?」
目の前にいる彼女に呼び出しを受けた際、クラスメイトの男どもに『羨ましいやつめ!』といわれた。
確かに容姿は可愛い部類なのだろう
けれど、こんなつまらないことをいう女なんかに自分は興味なんかない。
「バカバカしいな。私の二番目になりたいなら勝手にそう思っていればいいだろう?私は、婚約者の彼女以外を抱くつもりはない。抱く必要もない。君にとっての私がどういう男なのかは知らないが、私にとっての君は非常につまらない女の部類だぞ。」
「っ・・・ひどいっ」
「ひどいのはキミもだろ?キミはつまり、私は愛情も婚約者への罪悪感もなく女を抱くことのできる男だと思っているということだろ?私が他人に一番理解してもらいたい婚約者への気持ちを侮られたんだ。そんな他人を愛せるはずがない。」
ついには泣き出した彼女を見ても、面倒だとしか思えなかった。
「優しくして欲しいなら他の男に泣きながら尻尾でも振ってくるんだな。私にそれを求めるな。私は優しい男じゃない。」
まだ泣いている彼女に背を向けて、私は振り返ることなくその場をあとにした。
「あ、シュミット?何よいきなり。私のクラスにくるなんて。」
「学校が終わったら私の家にこい。授業が終わったらまた迎えにくる。」
「・・・やだよ。なんか機嫌悪いしシュミット。」
「では明日だな。更に機嫌の悪い私の相手をするのは。」
「わかりました!いかせていただきます!!」
「・・・・・。」
「・・・何よ?」
「私は、ひどい男だと思うか?」
「・・・何を今更。」
「真剣にきいているんだが?」
「・・真剣に答えてるつもりよ。でも・・・」
「でも?」
「ひどい男だけど、裏切られたことがないから疑ったことはないわ。シュミットの気持ち。」
昔からね。と付け加えて少し顔を赤くして顔を背けた彼女を、今日はどうやっていじめようか?
さっきまでのイラついた気持ちが晴れていく。
周りが思っているより私は単純な男だ。
少なくともこの婚約者の彼女のそばにいるときはそうなのだ。
そしてそんな自分を、私はけっこう気に入ってるんだ。
end