短編夢部屋

□拍手お礼SS
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時には甘えて・烈夢






「37.2・・・やっと微熱に下がったわね。」



体温計を片手に少しホッとしたような顔でそういった姉に烈は、その姉が作ってくれたお粥を口に運びながら申し訳ないような顔をしていった。



「ごめん、姉さん・・・学校休ませちゃって・・」



「母さんもダウンしちゃってるんだから仕方ないわよ。気にしなくていいからちゃんと休みなさい。学校なんて一日二日休んだって大したことないから。」



優しい手で頭を撫で、優しい声でそういって笑ってくれる。



いつもは甘え上手な弟が独占することの多いこの姉の手が、笑顔が、今は自分だけのそばにあることが嬉しかった。



「他に何か食べたいものとかある?桃のゼリーとかなら買ってあるけど・・」



「・・・えっと・・・食べ物は、いいから・・」




「?・・・烈?」




自分の頭を撫でてくれていた姉の手をギュッと握り、烈は熱なのか恥ずかしさからなのか自分でもわからなかったが、顔を真っ赤にして小さな声でいった。




「・・・眠るまでっ・・そばにいてほしい・・」








そういったあと、姉さんは少し笑ってから





「眠ってもちゃんと起きるまでそばにいてあげるから・・・安心して寝ちゃいなさい。」





そういった。




撫でてくれる手の温もりが気持ちよくて、どんどん微睡んでいく意識の中





「風邪のときくらい、我が儘になってもいいのよ?しっかり者のお兄ちゃん。」



なんて声がした。










end
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