短編夢部屋

□拍手お礼SS
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いくつ季節を越えても


変わらずにキミが隣にいてくれる


そう信じてるから








「もうすっかり秋だねー」

「そうだなあ、食うもの全部が美味く感じるよなあ。なあ、肉マン食っていかねー?」


「・・・もー豪って相変わらず情緒とかがないよね?私は紅葉を見て秋だなって思ったの!誰もコンビニの肉マン見て秋だなんていってない!!」


「うるせーなあ、いいじゃん!人それぞれだろ?」


「そりゃあ、そうだけど・・・」


好きな人に、同じように物事を感じて欲しい。
完璧には無理でも、ふとしたことに共通点を見つけたい。
そんな細やかな乙女心というものを、この目の前で無神経に笑っている男に分かれという方が無茶なのだけれど。


「けどまあ、俺たちビクトリーズには『世界グランプリの秋』『レースの秋』『ミニ四駆の秋』だけどなあ。」


「・・・・春夏秋冬関係なくない?」


世界グランプリが始まってから、豪の周りは明らかに広がった。


同じクラスで一番の友達と呼ばれる位置にいても、こうして一緒に帰っていても、いつもなんだか楽しそうに遠くを見ている彼に、なんだか置いてきぼりをくった感じがして寂しかった。

だからこそ、ちょっとしたことに共通点を見つけたくて。






川の上に落ちた紅葉が流されていく。

葉が全て落ちる頃には、寒い冬がくる。


季節が変わっていくように、自分たちも変わっていくのだろうか?

そしていつか別々の道を、別々に歩いていくのだろうか?




「・・・・なんだよ?そんなに紅葉が見たかったのか?」


「え?」


「あ!!そーだ!リョウのところのコースからだったらすっげーたくさん紅葉が見れるぜ!今からいかねえか!?」


「えっ・・・ちょっ!?」

返事を待たずに手を掴み引っ張っていく豪に、思考がついていかなくて言葉が出ない。


ただ繋いだ手と頬が熱くなっていくことだけはわかった。



「肉マンも買っていこーぜ!!肉マン食いながら、紅葉見て、俺がカッ飛ぶとこ見てろよ!!な!?完璧だろ!?」



どこが完璧だ?まるで情緒がないじゃないか?


けれど・・・


「・・・そうだね・・・それが星馬豪だね。」



紅葉を散らし、全てを雪が包む冬がくる


そして雪が溶ける頃


変わらず春が訪れる様に



決して変わらないものが、この世界にはいくつもある


その変わらないものの中に

キミにとっての変わらない
代えられない存在に

私はいつかなれるだろうか?



「なれると、いいな・・」

「なんかいったか?」


「ううん!早くいこう!紅葉見せてくれるんでしょ?」


「ちゃんと俺がカッ飛ぶのも見てろよ!?」


「はいはい・・・」


ちゃんと見てるよ。


ずっとずっと見てるよ。




変わらず隣にある、その笑顔



大好きな、変わらないキミを・・・




end
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