短編夢部屋

□拍手お礼
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キミだけのアストロノーツ・ブレット夢






「待たせすぎたか・・」



自分の部屋のベッドの上でスヤスヤと眠っている彼女を見て、ブレットは静かにため息をついた。


さっきまで彼は急な監督の呼び出しのため、彼女を一人で部屋に待たせて出ていたのだ。


今日は久しぶりに、彼女と一日ゆっくりとできる休日のはずだったのに・・・。


小さく、柔らかな身体を抱きしめ、唇を重ねようとした瞬間に鳴った部屋のドアをノックした音に、いくら冷静な自分でも舌打ちを返したくなった。



『いってきていいよ。私、待ってるから・・・。』



ほんのりと赤くなった顔で笑ってそういった彼女に、『いっそこのまま居留守を使っても』なんて考えまで頭を過ったなんていえるわけは無かった。



「何もかも投げ出したくなることがあるなんて、お前と出会うまで知らなかったんだ。」



彼女の眠るベッドに腰掛け、頬にかかった髪を耳かけさせ優しくその頬を撫でる。



「ん・・・ブレッ・・ト」


「!!」



自分の名前を呟くように呼んだあと、彼女の目の端から流れた涙に、ブレットは驚きながらもそっとそれを指で拭った。



「すまない・・・いつも、寂しい思いをさせて、我慢させて。」






それでも、キミを手放せない


キミの気持ちに甘えてばかりのオレを



どうか見捨てないで欲しい


「オレはきっと宇宙にいくんだ。そして・・・」



そして、いつか自分だけの、人が住める星を見つけるんだ



小さな星でいい



キミと二人だけで、宇宙を見上げられる星ならば




「必ず叶えてみせるから、待っていてくれ」



涙に濡れた彼女の閉じられた瞳に優しくキスをしてから、彼女の小さな唇に自分のそれを重ねた。







オレは、キミだけのアストロノーツ




end
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