短編夢部屋
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王子様は天才レーサー・未来編
『ミハエルくんが大人になった時、まだ私のことを好きだったら結婚してあげる。』
今思えば何様だったんだろうかあの頃の私は・・・。
「どうかしたの?」
目の前にいるミハエルは、私が見上げなければならないほど背が伸びて、相変わらず光輝くような金髪の長い髪は、後ろで革の紐で一つに結ばれている。
「・・・なんでもない・・」
大人になった彼の横顔は綺麗すぎて最初は直視すらできなかった。
「せっかくの結婚式なんだから笑ってよ。」
「おかしいよね?二週間前まで私はまだ就職活動真っ只中の学生だったはずなのに・・・なんで今、ドレスなんか着てミハエルの隣りにいるのかな?」
「就職先が決まったからだよ。ボクのお嫁さんっていうね!」
「はあ・・・まさか自分が永久就職することになるとは思ってなかったわ。」
「ボク、昔から欲しいものは絶対諦めたことがないんだ。だからキミのこともそうしただけだよ?」
恐いことをサラッといっちゃうところも、やたらくっついてくる甘えたなところも変わらない。
けれど、昔ははね除けられたはずの腕からはもう逃げ出せないし、軽く触れるだけだったキスは、呼吸を奪うようなものに変化した。
「絶対に手に入れるんだ。キミの気持ちも、身体も、未来もね。」
一体自分の何がよかったのだろうかと、つくづく疑問だけども
こんな自分をこんなにも欲しがってくれる人は
世界にただ一人
彼だけなんだろうと思うから
ため息をつきながらも私は
もうこの手を離せないんだろうなと
気持ちよく諦めた
end