□S
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「おはよう。」
雪は金魚に言い聞かせた。
今日もだ、目覚ましより先に起きたのは。
テレビをつけると、ばかばかしいニュースの山。
誰もいない朝。
親は2年前に雪を置いてどこかへ姿を消した。
家賃はなぜか振り込まれている。
別に、不便な暮らしではない。
「眠っあっつ!!」
腕を伸ばした瞬間、ホットミルクを注いでいたマグカップが倒れた。
「あっつ〜・・牛乳くさっ」
ふとケータイに目を通すと
時刻は7:30をさしていた
「やっば!!部活!!」
急いでローファーに足をいれた。
かかとはしわだらけになっていた。
急いで自転車に足をかけた。
ペダルがくるくる回って足がうまくかけられない。
「何でこういうときに限って・・・もゥ!!」
やけになってとにかく足でこいでいった。
学校に着くと奇跡的に雪の所属する陸上部はまだ始まったばかりだった。
「ふぅ、セーフっ」
そう息をつくと顧問の大谷がファイルで頭をぽんっとはたいた。
「セーフじゃないぞ〜。減点1。」
「ないよ〜先生!!ここは多めに・・」
大谷は、はははと笑いながらグランドへ歩いていった。
部活も終わり制服に着替えていると
「あ〜まぢ疲れたぁ。このまま例のあそこいかない?」
「俺も行こうかなぁ。最近あぶりじゃ身が持たない。」
・・・何の会話だろう。
そう思いながらも部室を後にした。
さっきの話が気になる。
でも先輩の話には口は突っ込むと何を言われるかわからない。
・・・気にしないでおこう。
2−3のドアを開けると
いつものメンバーが待ち構えていた。
「雪!おはよっ。」
友達の春美がそう声を雪にかけると雪の存在に気が付いた、真奈美と早苗も声をかけてきた。
「おはよ。みんなどうしたの?やけに笑顔で・・・気持ち悪いよ 笑」
「あのね!真奈美がずーっと前から好きだった、田口先輩にこ告られたって!」
田口先輩は雪と同じ陸上部でさっき意味のわからない会話をしていた先輩だった。
そのことを言おうと思ったが、どうでもいいことだと思い、あえて口には出さなかった。