了ヒバの部屋

□喧嘩したことありますか?
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いつも喧嘩しているように見える。だが、当人達はいたって真面目に答える。
「これはトレーニングだ!」
「噛み殺す」
 バトルをしているのであって喧嘩ではないらしい。
 了平のいうトレーニングはともかく、雲雀の噛み殺すは素面で言える台詞ではあるまい。
噛み殺すのは確かに喧嘩ではない。もっと暴力的だ。
 今日も今日とて目が合うなりバトルを始めた。
「雲雀、腕を上げたな。しかしまだまだ俺は倒れんぞ」
「それはこっちの台詞だよ。さっさとダウンしなよ。しつこいね」
 了平がこれしきのことで倒れるわけがない。雲雀相手でも負けるわけにはいかないのだ。
「極限MAXっ!」
 了平渾身の右ストレートが炸裂する。決まった、筈だった。
 雲雀のトンファーがそれをしっかりと受け止めていた。プスプスと音をたてて、焦げ臭い臭いがした。
「今日はこのくらいで勘弁してやろう」
「それは僕の台詞だよ。だいだい何で素手なの?血が滲んでるじゃないか」
 ボクサーたる者いついかなる時もバンテージを巻くものだと豪語していたはずだ。うっかり忘れてしまったという。
「これは僕のものだからね。勝手に傷つけたら許さないよ」
 雲雀は了平の傷口をぺロッと舐めた。
「ひ、雲雀…!何をする!」
「嫌だったらケガなんてするんじゃないよ」
「うむ、わかった」

 こうしてトレーニングと称したコミュニケーションを取る二人には喧嘩などする隙はないのだった。



END

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