了ヒバの部屋
□さくら咲く
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並中の生徒はほとんどが並高へ進学をする。多少学力に問題があっても受け入れる。多少ならば。
そんなギリギリのラインにいる笹川了平は補習の補習を受けていた。その教室にはヒバリもいた。ヒバリが補習なんて珍しい。他には誰もいない。教師さえもいなかった。
「珍しいな、ヒバリ。お前も赤点取ったのだな?」
「君と一緒にしないでよ。僕は君の補習の講師だよ」
つまりは了平のレベルが群を抜いていて教師では対応できない。レベルというか別世界の住人のようで、教師が匙を投げたのだ。そこでヒバリにお鉢が回ってきた。
「何で僕がこんな面倒なことしなくちゃならないの?」
「それは俺と一緒に並高へ行くためだ!」
ヒバリの力がなくては了平は危うい。是非とも一緒に高校生活を送りたい了平はヒバリに縋ることになったのだ。
「僕がいつ並高へ行くって言った?」
「どこか別の高校へ行くのか?」
思ってもみなかった。ヒバリが他の高校へいくなんて。了平は大きな衝撃を受けたがすぐに思い直した。ヒバリなら頭もいいし私立の高校にだっていく可能性だってある。
「他の高校なんか行くわけないだろ?僕は並中の風紀委員だよ」
実はヒバリの年齢と学年については長らくタブーとされてきた。一体いつから並中で風紀委員をやっているのか誰も把握していなかった。ヒバリとしては当然のように来年度からも並中で風紀委員をやるつもりでいたのだ。
「でも了平が並高へ行くのなら、僕も行こうかな?」
了平が卒業できないのなら並中に残っても楽しそうだが、了平のいない学校生活はつまらなさそうだ。
「だってキスしたい時に君がいないんじゃできなじゃないか」
そう言ってヒバリは了平をジッと見る。
了平は頬を染めつつもヒバリにキスをした。
END