小説〜二次〜

□ホントの気持ち
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「なぁな、蛍。どうやろ…?」
「可愛いわよ」
「ホンマ!?」
振り返ろうとする蜜柑を蛍は制止した。
「ダメよ、蜜柑。今動いたら崩れるわ」
「あ、危ないとこやった!」
「できたわ」
蛍は蜜柑の髪にシュルッとリボンを巻いて言った。
「じゃあ、私は先に行くから」
「あっ!蛍ぅ!」
「何よ。あんたは彼と行くんでしょ?」
蜜柑はそうやけどと俯いてから言った。
「蛍!ありがとうな」



蛍は寮のドアを開け、その前で俯きそわそわしてる少年を見た。
「おはよう、流架君」
「い、今井!」
去ろうとする所を流架に声を掛けられ蛍は振り返って言う。
「……なんて顔してるのよ。そんな事じゃ任せられないじゃない」
「……」
「はぁ……。しっかりしなさい。私はまだあなたを認めた訳じゃないし頼りないと思うわ。でもね、蜜柑が選んだのはあなたなのよ。蜜柑を信じなさい」
「今井……」
一歩踏み出してから蛍はまた顔半分振り向いて言った。
「自信持ってくれないと、邪魔出来ないじゃない」
悲しいような温かいようなそんな笑顔だった。蛍が去った後、流架が蛍の言葉を考えていた。すると寮のドアがゆっくりと少しだけ開いて蜜柑の顔が覗いた。
「佐倉、どうしたの?そんな所で。学校行かないのか?」
「ルカぴょん?うん。……えい!!」
蜜柑はギュッと目を瞑り飛び出してきた。蜜柑はポニーテールに髪を結っていた。それを見た瞬間流架の時間が止まり、蜜柑は毛先をくるくるといじり恥ずかしいというように言う。
「どうやろ……?似合っとるかなぁ?今日から中等部やから、少し大人っぽくせなあかんと思て……。ルカぴょん?」
「え、あ、さ、に!似合ってる、よ」
「良かった!」
蜜柑はぱぁっと笑顔になった。
「ホントはな、前にガリバー飴舐めておっきなったやろ?あの後棗に5年後は髪おろせ言われたんや。でも、ルカぴょんは元気なうちが好きやゆうてくれたから。まぁ、まだ5年経っとらんけど。降ろすよりこっちの方が好きかな思てん」
中等部に向かいながら蜜柑は言う。流架は立ち止まって苦しそうな顔をした。そしてずっと思っていた言葉を、不安を口にした。
「佐倉、本当に俺でいいのか?棗じゃなくて……」
蜜柑は目を見開いて振り返り、流架の表情を見てそれから少し微笑んだ。
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