小説〜二次〜
□贈り物
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流架「こ、れ、下さい…!」
店員「3Rtです。ラッピングしますか?」
流架「…はい」
今、俺はセントラルタウンの中にいる。1月1日に迫る、佐倉の誕生日のプレゼントを思い切って買うために。色々悩んだ結果、頭につけるリボンに決めた。佐倉は髪をいつも二つに縛っているから、役には立つと思う。うんっ!と、その時
蛍「あら、流架君」
流架「今井っ!」
蛍「こんなファンシーショップで何してるのかしら?あら、何か買ったのね」
流架「なっ、何でもない!」
俺は慌てて買った物を隠す。
蛍「…自分でつけた時には、教えて。写真撮りに行くから。高く売れるわ。うふふ」
そう言って今井はにこやかに去って行った。今井は何かわかってる…!
◇ ◇ ◇
一応、今井以外には誰にも会わないで部屋まで帰ってこられた。けど、この後どうすればいいんだ。というかなんで俺、あいつにプレゼントなんか…。やっ、買ってから何言ってるんだ!今年は色々あって、なんども佐倉に棗を助けてもらったし、お礼だ、お礼!
棗「おい、流架。入るぞ。」
流架「うわっ!なっ、棗!」
部屋のベッドでプレゼントを眺めながらため息をついていた俺は驚いて飛び起きた。
棗「ん?何やってんだ、お前」
流架「何もっ!?」
棗「?…。お前、この頃変だぞ」
流架「別に…」
棗「お前、俺に隠し事してるだろ?何もわかってないと思ってたのか?俺もバカじゃねーんだぜっ!?」
流架「痛っ!」
棗は俺のおでこをピンッとはじいた。
流架「…、ごめん棗!あはは。痛いだろ!?」
何で俺、こんなに悩んでたんだろ?棗に心配かけちゃったのか。せっかく買ったんだから、ちゃんと佐倉に渡そう。
◇ ◇ ◇
1月1日。あの後もやっぱり悩んだけど、ちゃんと渡す事に決められた。誰かに渡すとこ見られるのもあれだから、朝一番で行く事にした。
佐倉起きてるかな?きっと、自分の誕生日だからって早く起きちゃうんだろうな、佐倉。くくっ。
「トントンッ」
俺は佐倉の部屋のドアをノックした。
流架「佐倉、起きてるか?」
蜜柑「はーい!誰?」
俺はごくりと唾を飲み込んだ。
蜜柑「あっ、ルカぴょんや!あけましておめでとう!」
流架「おめでとう。」
蜜柑「朝からどうしたん?」
佐倉がキラキラした目で俺を見てくる。
流架「う…」
蜜柑「まぁええ。中入って」
俺はとりあえず、佐倉の部屋に入った。
流架「あ、えぇー」
蜜柑「あっ、もしかして、みんなのとこ挨拶に周ってるんか?」
流架「えっ!や…あぁ」
このままじゃいけない!でも渡せない!いや、渡すって決めたんだろ!?
そうしてる内に時間が経っていく。
言え、俺!
流架「あ、あのさ。佐倉…今日誕生日だろ?」
蜜柑「覚えててくれたんや!うれしいわぁ」
流架「でさ、プ、プレゼント…」
その時、トントンッとノックの音がした。
野乃子&アンナ「蜜柑ちゃん!あけましておめでとう!そして、お誕生日おめでとう!」
バーンッと言い、みんながぞろぞろ入ってきた。
蜜柑「うわ!みんなありがとうな!」
心読み君「あ、ルカ君だー。さっき呼びに行ったらいなかったと思ったら、先に来てたんだ。」
流架「え!…あぁ」
蛍「みんなが蜜柑、あんたのためにパーティーをしてくれるそうよ。感謝しなさい。私も色々食べられそうでうれしいわ。」
スミレ「さぁ、パーティーを始めるわよ!」
キツネ目君「パーマが仕切るなよ。」
スミレ「いいじゃないのよ!」
正田達がそうしている内に、俺はドアの近くに棗を見つけた。
流架「あっ、棗」
棗「よ。いきなり部屋に来て引っ張ってこられた。何で俺が水玉の誕生日パーティーなんかに」キツネ目君「プレゼントターイム!」
俺の耳にはそう高らかに宣言したのが聞こえた。
流架「え!?」
どうすればいいんだ!?
みんなが佐倉にプレゼントを渡し始めた。
心読み君「まずは僕からー。僕は貼ると少し頭が良くなるシップー」
キツネ目君「俺からは、不正解を書くと笑うペン」
蜜柑「あんたらうちの事バカにしてるやろ!」
心読み&キツネ目「当ったりー!」
それから、正田、梅ノ宮、小笠原なんかが佐倉にプレゼントを渡していった。
蛍「蜜柑。おめでとう。はい、これプレゼント」
蜜柑「蛍…」
心読み君「あー、また二人だけの世界に入ってるー」
蜜柑「…蛍、開けてもええ?」
蛍「ええ」
蜜柑「ちょっと大きいなぁ。何が入ってるんかな?」
そう言って佐倉は今井からのプレゼントの包装を取り始めた。
蜜柑「あ!キレイな箱やなぁ。中身は…、え?蛍ぅ、何も入っとらへんよ?」
みんな「え?」
俺を含め、みんなが驚いた。
蛍「当たり前じゃない。私のプレゼントはその箱よ。今日はまだましだけど、あんたの部屋いつもぐちゃぐちゃなんだもの。それで少し片付けなさい。じゃないと、もう私はこの部屋に来ないわよ」
蜜柑「蛍ぅ〜!」
佐倉が今井にすがりついた。
スミレ「えーと。もうプレゼントのある人はいないわね?」
正田が少し困った顔をしながら言った。
流架「うっ…」
俺はドキッとした。
棗「…」
その時、棗が俺の背中をドンッと押した。
流架「うわぁ!」
俺は佐倉の近くまで行ってしまった。
棗っ!まだ心の準備が…。
棗を見ると、棗の目が“がんばれよ”って言ってる気がした。
ありがとう棗。よし!
流架「佐、倉…。俺からも。…誕生日おめでとう」
俺は佐倉にプレゼントを差し出した。
蜜柑「ルカぴょん、ありがとう!開けてもええ?」
流架「あ、ああ」
蜜柑「うわぁ、リボンや!かわい〜!ほんまにありがとう!あっ、ちょっと待って」
そう言って佐倉は髪をいじり始めた。
蜜柑「どう、ルカぴょん似合っとる?」
佐倉が、俺が買ったリボンをつけて俺に訊いてくる。
流架「う…ん」
心読み君「あー、ルカ君の顔真っ赤っかー」
流架「え?うわ!なっ、何でもないっ!」
俺は顔を手で抑えて、首を振る。
心読み君「あはははは」
佐倉、喜んでたみたいだし良かった。
それから時々、佐倉が俺がプレゼントしたリボンをつけているのを見かける度、俺は嬉しくなった。
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あとがき
久々に昔の自分の作品を読み返すと、ちょっと恥ずかしいですね(//▽//)そして、文章の拙さが目立ってまた恥ずかしいですぅ!
少しはその時より、成長できてるのかな?
実はこれが、二次の最初みたいな作品なんですよね。
こんな拙い文章でも、楽しんでいただけたら幸いです。