短編

□着いてゆく者
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アラシヤマがゆっくりと瞼を開けると一年前には見慣れていた天井がぼんやりと見えた。その瞬間身体に走るヒリヒリとした痛みと共に生きているのだと実感する。
「生きてて悲しいなぁ…」
声がした方に顔だけ向ければ隣のベッドに包帯を巻かれているトットリが座っていて、明らかにアラシヤマに向かって呟いた。
「……あんさんも?…」
アラシヤマは目を細めてトットリを見つめた。
「死ぬの覚悟したんやけど誰かのせいで死に損なったっちゃ…」
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