短編

□雨
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「雨……嫌いどすか?」
「ん?」
部屋の中で窓から外を見てたらアラシヤマがいつの間にか横にいて、同じように外を見ていた。辺りを見回すと僕ら以外誰もいなくなっていた。
「そんな顔してまっせ」
確かに雨は嫌いだけど、ミヤギくんにさっき声をかけられた時は僕を見て『好きなんだな』って言ってた。こいつの目に僕はどう映ってるんだろう。
「…昔は好きだったんだわや」
「昔……ねぇ。」
そう、昔は好きだった。雨が降れば血もその匂いも何もかもを洗い流してくれていたから。後始末みたいにいつだって能天気雲を使って雨を降らせてた。
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