多生之縁
□永久なる歌声
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「ん……」
夢から現実へ帰ってき、瞼をゆっくりと開けた。
視界がぼんやりしていたため手の甲で目を荒く擦る。
ようやくはっきりしてきて見えたのはいつもの部屋。
「久しぶりだ…」
最近ずっと変なアスラとかデュランダルとかの夢を見ていたのもそうだが。
(アイツの顔見たのも、久しぶりだな…)
アイツはいつの間にか俺の前から姿を消していた。
(確か…俺がすっげぇ小さかった頃だから、10年位前か)
夢を見るまで忘れていたらしい。
今まで思い出さなかったから、元々無いものとして扱っていた。
それが、今になって思い出すなんて…。
「………、うしっ」
今日も気合いを入れて起き上がり、着替える。
そして、キュッと帽子をかぶり部屋を出た。
無言で屋敷を出ても、誰も反応してくれない。
それにも慣れてしまい、今では無言で屋敷を出るのか当たり前になってしまった。
(やっぱり、変わらねぇよなぁ…)
街の風景、
大勢の人々、
俺への態度。
俺はいつしか、諦めてしまったのかもしれない。
別に、俺はこのままの街が好きだし、いきなり皆がべたべたしてきたら気持ち悪いと思っているし。
(でも…)
でも、一度だけで良いから俺をちゃんと見てほしい。
(……なんて、あり得ないあり得ない)
顔に少し笑みを浮かべながら歩いていると、海があった。
(そういやずっと前、アイツと一緒に海で遊んでいたなぁ)
ふと思い出し、海の方へ行こうと爪先を向けた。
─────刹那
「!?」
変な格好をした奴らに囲まれてしまった。
見たことがある奴だと睨み付けながら考える。
その変な格好をした奴らのうちの1人が一歩前に出た。
「お前、ここ辺りで騒ぎになってる異能者だろ。捕らえろ」
そうだ、コイツらは異能者を捕まえてる奴らだ。
いつ、誰が俺のことばらしたんだか知らないが、捕まったらそこで…。
(くそーっ、捕まってたまるか!)
腰にある剣の柄に手を掛け、抜き出す。
「オラオラァ!くらいやがれ!!」
斬らないように1人を柄で殴って気絶させた。
その1人がぱったりと倒れてしまった後、気を抜いてしまったせいか残りの2人に腕を掴まれる。
「放せっ!!放しやがれっ!!」
必死の抵抗も虚しく、俺を引き摺りながらでも連れていこうとしている。
「異能者捕縛適応法によりお前を連行する。この悪魔め、大人しく歩け!」
そのムカつく言い方&悪魔と言われたので何かがプツリと切れかける。
それをなんとか抑え、じたばたと諦めずに暴れた。
「悪魔だとォ!くそ、言ってくれるじゃねーか。このっ、放せー!」
俺の抵抗にムカついたのか奴らは俺の首辺りを叩いた。
視界が歪み、暗くなっていった。
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