sail in the same bort

□earth
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思い切り地を蹴るなか、剣を両手で構える。
剣を横に薙ぎ払うように振るうと、王都兵の一人が薙ぎ払った方向に吹っ飛ぶ。


「まず一人目」


ぺろりと口周りを舐める僕に、一瞬王都兵は怯んだが、今度は一斉に突っ込んできた。
それでも、僕は笑う。


「償え」


剣の先を三メートル先の王都兵に向ける。
無論、三メートル先の相手には届かない。
"ただの剣なら"、だ。

───響く銃声。

剣から放たれた弾丸はもう一人の額を貫いた。


「二人目、次は誰だい?」


「貴様ぁ…!!」


剣先を向けてきた王都兵の剣をひらりと避けるが、もう一人の王都兵の剣が頬に赤い筋を走らせる。
小さな痛みに、その傷を触ると、手袋に赤い液体が付いていた。


「……クッ、ハッハハハハ!!」


空を仰ぎ見て笑う、笑う。

(ふざけるな、ふざけるな。奪っていったのはどっちだ)

笑うのを止める。
だが、笑みは消えない。


「生きて帰れると思うな。今から命乞いしておくんだ、なっ!!!!」


剣を振り上げ、振り下ろして王都兵を真っ二つに斬る。
血が噴き出し、血が思い切りかかってしまう。
ニヤリと笑い、斬る、斬る。
いつの間にか王都兵は原形を失っていて、あるのは血と肉片だけ。
頬を手袋で拭うと、手袋は一瞬で赤く染まってしまった。

(ああ、また…。また僕は罪を犯してしまった…)

罪人は僕の方だ。
再び後ろに現れた二人の王都兵。
その二人に微笑みかけ、軽く両手を上げる。


「降参」


二人の王都兵は僕の両手を捕え、何処かへ連れていく。

(マティウス様ごめんなさい。意外にあっさりと捕まってしまいました。この場合は捕まえさせた、というのが正しいでしょうが)

横を向いて空を見る。
空はいつものように流れていた。




「だーかーらーッ、言ってるっしょ!?僕はアルカの信者なんですって」


「信じられん、アルカに確認を取るまでここにいろ」


投げられるように押し込められる。
バランスを崩して勢い余り、狭い部屋の壁にぶつかった。


「あ痛゙ッ!!」


その際に反動で頭を打ってしまい、頭が痛い。
狭い部屋の唯一のドアが閉められていくのを見て青ざめるのが自分でもわかる。


「ちょ、ちょっと!!いくら僕が気に入らないからってこれは酷すぎない!?ねえ!?」


ドアを何度も叩くが、相手は無言で立ち去ってしまった。

(ま、マジかよー!?)

肩をがっくりと落としてから後ろを向く。
一人だけだと思ったら、もう一人いるではないか。
これが唯一の救いだった、一人だったらいわゆるノイローゼになっていただろう。


「あ、初めまして…」


その人は少女で、黒い髪をしているアシハラ出身のような容姿をしていた。






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