sail in the same bort

□dream
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僕たちは未だ空を飛んでいた。
何故か、それは。


「ここって、どこ…?」


「わかってるって思ったのに…」


「仕方ないだろ、地図無いんだから」


だからだ。
実は、一度も戦場に向かわされたことがない僕。
そんな僕に道なんてわかるはずがない。
せめて、地図でもあれば今すぐにでも飛んでいけると言うのに、本当の意味で。
チトセは呆れてしまっている様子で、僕は少し焦っている。


「もう良いわ。諦めて降りて誰かに聞きましょう?」


「大丈夫!!探してみせるよ!!」


キョロキョロと辺りを見回しながら飛んでいると、何か見つけた。


「チトセ、線路が見える」


「え、私には見えないわ」


「ふはっは、僕には超人的な視力を持っているのだよチトセちゃん♪」


チトセが少し鬱陶しいような、嫌そうな顔をした。
それに僕は「ショックだなあ」と呟いてから、再び向こうにある線路に視線を移す。

(線路があるってことは列車があるってことだから、線路を辿っていけば着けるかも)

そうとわかったら善は急げ、だ。
翼をはためかせ、チトセが苦しくない程度のスピードで線路を辿る。






「ようやく着いたね」


木陰に降りてチトセを先に地面に着かせる。
弾けるようにして辺りに舞った僕の黒い羽根。
背中には翼があったような形跡はもう既にない。


「とりあえず、指揮官に私たちは何をしたら良いのか訊きに行きましょう」


曖昧に頷いてから木陰から出ていったチトセの後を追う。
微妙に感じる異臭。

(さすが戦場。死体、血、火薬の臭いがすごいする…、こんな臭いに慣れちゃった自分が末恐ろしいよ)

ぼんやりとチトセの後を追いながら入り口を眺めて考える。
視界の端に見えたチトセが止まったのが見え、僕も立ち止まった。


「アルカ信者のチトセ・チャルマとモア=クロスウェイです。私たちは何をすれば良いんでしょうか?」


「貴様らがアルカ信者か。アルカ信者は奉仕活動をしていてもらおう」


テントを指差してどこかへ行ってしまった指揮官を目で見送ってからテントの中に潜り込む。
途端に広がる血の臭いと消毒液の臭い。
思わず鼻と口を覆うように右手を持ってくる。

(消毒液の臭い苦手なんだよね…、少しなら良いけどここまで強烈だと…)

込み上げてくる吐き気を抑えるために口で深呼吸を繰り返す。


「お前たちがアルカ信者か。手伝ってくれ」


テントの中にいた一人に手招きされ、返事をしてから歩み寄る。


「お前は包帯を変えて、お前は消毒を頼む」


僕とチトセは返事をしてから頼まれたことを始めた。




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