sail in the same bort

□sky
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部屋の外から人の気配と足音が聞こえ、僕はチトセを離した。


「出ろ」


ドアの向こうから声が聞こえたと思ったら、ドアが少しだけ開かれた。
チトセの手を握り、引っ張るように部屋を出ると、グリゴリ兵がドアを閉める。


「ホントだったっしょ?だぁ〜からあんな言ったのに」


チトセの手を握っていない方の手で後ろ頭を掻く。
だが、グリゴリ兵がそのことに対して何も言わなかった。

(…マジかよ、つまんねぇ…)

苦虫を噛み潰した表情をしながら少しだけ舌を出した。
すると、隣から吹き出したような笑い声が聞こえ、そちらを見てみる。

───チトセが笑っていた。

現世で見た初めての笑顔に再び心臓が跳ねる。


「チトセ…」


「……え?」


クスクスと笑っているチトセを呼ぶと、まだ笑い足りないかのような表情でこちらを向く。
その表情が何だかもう可愛らしいなんかじゃ表しきれなくて、胸がきゅーっとするような感覚に僕はチトセを再び抱き締めた。


「!?」


「チトセ…、チトセ!!めちゃくちゃ可愛い!!!!何で君はそんなに可愛いんだ!?」


問いかけても意味のないこと言うと、チトセは「知りませんよ」と照れながら言っていた。


「取り込み中悪いが、アルカ信者は西の戦場で奉仕活動をしてもらうことに決まった。列車の準備が整うまで待機してもらおう」


僕は空気の読めないグリゴリ兵に小さく舌打ちした。

(まったく、空気読めよな!!)

背を向けたグリゴリ兵に舌を出してから、ふと思い付く。


「あ、おい。僕たちは列車必要ねぇから」


グリゴリ兵にそう言うと、チトセは驚いたように目を見開いている。
グリゴリ兵は何も言わずに去っていった。

(ちゃんと聞こえたのかよ…)

すると、チトセが僕の服を握っていることに気付いた。
チトセの方を見ると、不安と驚きの間のような表情をしているのに気付き、僕は微笑んでチトセの頭を撫でる。


「大丈夫大丈夫。ほら、じゃあ外に出ようぜ」


ここに一回だけ立ち寄ったことのある僕はチトセの手をまた握って引っ張る。
チトセの歩幅に合わせるように歩く。


「ど、どこに行くの?」


「ん〜?アルカ本部にでも行こうかなと。マティウス様と御対面、てね」


「でも、ここからは遠いはずよ。どうやって…?」


話しているうちに外に出たようだ、ちょっぴり懐かしい陽の光が僕を照らしつける。
眩しそうに目を細めたチトセに微笑みかけながら、こう言う。


「こうやって…、ね!!」






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