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□君に向かって全力疾走
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「匪口さん!クレープ屋さんです!!」
「うん」
児童公園の前に新しく出来たクレープ屋。そこは子供達で賑わっていた。
「おごるよ。桂木」
「本当ですか!!?」
「うん」
クレープ(7本)を食べる桂木を見つつ、雲をぼんやりと見る。
口の中で広がる生クリームの味なんて分からない。
「ほら、帰るわよ。啓太」
「あ!母ちゃん!!じゃーな!!ゆーすけ!!だいち!!」
「バイバーイ」
「なんか、和みますね」
「……だな」
俺は公園なんかで遊んだことなんてないし、少し寂しさや悲しさを感じてしまったけれど。
桂木には、秘密にしとこう。
「そういえば、匪口さん。小学校の頃の国語の授業で自分の名前の由来を親に聞こう。っていう授業ありませんでした?」
「ああ……あったよ」
俺は聞くのを忘れた。って言って誤魔化してた。
聞いても答えてもらえなかった。なんて言いたくなかったし。
「私が私の名前の由来を聞いた時、お父さんとお母さんは『なんとなく』って言ったんです」
「へー」
「でも、今考えてみれば名前って親からもらう愛情のひとつですよね。『なんとなく』っていう理由だったとしても、きっと愛情はあったってことで……だから、だから匪口さんにも、『結也』って名前にも、理由があって親の愛情はあるんですよ!!そりゃ、他の人と比べたら、親の愛情には恵まれてないけど……全く恵まれてない訳じゃないんですよ!!」
「桂木……」
「それに、『結也』って名前、匪口さんにぴったりですごくかっこいいって思うから!!自信、持って下さい!!」
全部、分かってたんだな。俺が沈んでることも……
迎えがくる子供を見て、寂しさを感じたことも。
ぎゅっ……。
「サンキュー、桂木」
そんな優しい桂木が俺は好きで、桂木も俺をこんなにも思ってくれて。
たくさんのありがとうで桂木を抱き締めたくて、仕方なかったんだ。
「匪口さん!鬼ごっこしましょう!!匪口さんが鬼ですよ!!30秒、数えて下さいね!私、逃げますから!!」
「えっ……!ちょっ!!桂木!!」
「ほら、早く!!」
「はいはい……1、2、3、4…………」
君に向かって全力疾走。
君の心、笑顔、君の全てに向かって走るんだ。
捕まえたっ!!
と、同時に言うべき言葉
「大好きだよ」
end
◆◆久しぶりのCP小説ですな。匪口さんは翌日に筋肉痛になってそう(笑)体重は軽いから、短距離走は得意そうですが、長距離走は駄目そう(笑)◆◆