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□それは魔法の言葉
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家の近くの神社で、毎年開催される夏祭り。俺は警備を命じられ、屋台が並ぶ道を歩いていた。

「笹塚さんっ!」
「……弥子ちゃん」

弥子ちゃんは俺の方に走ってきた。

手には、林檎飴、綿飴、たこ焼き、チョコバナナ、焼きそば、フランクフルト、かき氷等と言った食べ物たち。

想像はしてたけど、やっぱりすごいと思う。

「こんばんは!笹塚さん!お仕事中ですか?」
「まーね……」
「大変ですよね。夏祭りとか、トラブルが多いんでしょう?」
「そうだね。弥子ちゃん位の子達のトラブルが多いかな」
「やっぱり……あの、もし笹塚さんが良かったら一緒に屋台を回りたいな〜なんて」
「別に、いいよ」
「本当ですか?!!ありがとうございます!!」

弥子ちゃんは有名人だし、色々と一人じゃ不安なんだろう。

興味本意で話しかけてくる奴もいるだろうし。

だから、男の俺といたら少しでもそういう奴は寄って来ないだろうから誘ったんだろう。

期待なんか、してはいけない。

俺が好きだから。なんて、15も年下の少女に。

「行こうか」

俺は弥子ちゃんの手を握って歩き始める。

「笹塚さんっ!!////手!!手!!!!」
「迷子になったら、大変でしょ」

これは、理由。本当はただ、手を繋ぎたかった。だけど、30過ぎのオヤジが16の少女と手を繋ぎたいなんて恥ずかしいことだし、問題がありすぎる。

自分の欲望を誤魔化す理由……言わば、理由付けだ。

「笹塚さん」
「ん?」
「どんな、理由であれ、笹塚さんと手を繋げるなんてすごく嬉しいです!!」
「え……」

弥子ちゃんは顔を真っ赤にして、俺に最高の言葉をプレゼントしてくれた。




「笹塚さんが好きだから!!」



end


◆◆甘いですね。二人が付き合う前の話です。笹塚さんは多分、弥子ちゃんを抱きしめながら、「俺もだよ」って言ったと思います◆◆
 

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