Cp

□癒しの存在
1ページ/1ページ


初めは重ねてただけだった。

今日は比較的、楽な日。

夕方に帰れるなんて本当に久しぶりだ。

昼に降った雨のせいで水たまりがあちらこちらに出来ている。

雨上がりの夕方は何処か寂しい気にさせられる。


一人でいると、「あの時、こうしてれば」なんてそんな後悔が頭に浮かんでは消え、浮かんでは消えの繰り返し。

「はぁ………」

公園のベンチに座り、無邪気に遊ぶ子供達を見る。

俺の足元にボールが転がってきた。

「あ!!ボールを取って下さい!!」
「ん……」
「あ………」
「弥子ちゃん……」

弥子ちゃんの隣には、小学校低学年ぐらいの女の子達。

「弥子お姉ちゃん!どうしたの?」
「笹塚さん。ちょっと待ってて下さいね。あのね、あたしの知り合いの刑事さんなんだよ」
「ええ!!!?けーじさん!!すごーい!!」

女の子達のお母さんが迎えに来て女の子達は帰っていった。

「あの女の子達は?」
「家の近くの子達で、時々遊ぶんです」
「へ──………」
「あたし、一人っ子だから小さい子供達と遊んでたら、妹ってこんな感じなのかな。とか、思ってしまうんですよね〜」
「…………」

妹。

この言葉に胸が痛くなった。

「笹塚さん?」
「いや。妹のことを思い出してさ」
「妹さんの?」
「うん。後悔ばかり、してる」
「…………」
「あの日も、俺が忘れてなかったら……もしかしたら」
「………汚い言い方かもしれませんけど、笹塚さんはあの日に妹さんの誕生日を忘れてて、プレゼントを買って、家に着くまでの間にXは笹塚さんの妹さんとお母さんとお父さんを奪ったんでしょ?笹塚さんがもし、妹さんが誕生日だったことを覚えてて、家にいたら笹塚さんは生きてないよ?」
「…………」
「あたしね。笹塚さんがお父さんの事件の担当で良かったって思ってるんだ。笹塚さんの優しさがなかったら、きっと今まで探偵を続けれなかったもん。笹塚さんはXに大切な人を奪われて。それで大切な人を失う痛みと同時に優しさを知ったんじゃないのかな……。ってごめんなさい。深刻な問題なのに……」
「ああ。いいよ……」

どうして、弥子ちゃんが言うと限りなく本当に聞こえてその言葉を信じたくなるんだろうか。

君の優しさに甘えても、いい?

俺は小さな弥子ちゃんの手を握る。

「笹塚さんっ//////」
「ごめんね?少しだけ、こうさせて?」
「はい///////」

君と見た夕焼け空は、今まで見てきた夕焼け空の中で、一番綺麗に見えた─


◆◆はははぁっ!!切甘なのか!!!?弥子ちゃんの優しさを書きたかっただけなんです(泣)◆◆
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ