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□羽根があれば
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足下を覗き込めば泣きそうなみんなの顔
後ろを振り返ればフェンスごしに蔵ノ介がみている
別に死にたい訳じゃない
ただ、空に近付きたかった
戻ってこいと言う蔵ノ介の声は震えていて、目は心なしか泳いでいる
『私は空に近付きたかっただけよ。』
蔵ノ介「…今やなくてもええんちゃう?」
『…一瞬でいいの。一瞬でいいから空に近付きたいの』
私は、白く冷たいコンクリートから羽ばたいた
青い空を独り占めにできた気がした
羽根があれば
(あなたが私の名前を叫んだように聞こえたのはきっと気のせい)
Fin