マリみて

□white
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貴女はまだ、こんな寒い季節だと
私よりもマフラーをとるでしょう?












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手を繋げば、あったかくなるんじゃないかな、
とか
思うのは私だけでしょうか

鼻の頭を赤く染めて
手袋をはめた両手を擦り合わせる貴女は、さっきから寒い寒いと連呼しています。
これで八回、寒いと言いました。貴女は気付いていますか?

夏が恋しいと貴女は言います。
夏国へ行きたいと貴女は言います。
鍋が食べたいと貴女は言います。

もう一度寒いと言ってから曇り空をみて、貴女はため息を吐きました。


確かに、雨が降るみたいな重い色をしていますが、

私はこっそり子供みたいに、雪が降ればいいなと楽しみにしています。

私自身はどうでもいいのですが、

…きっと貴女は喜ぶに違いないので。

私は貴女が良ければ、それで良いのです。
しあわせなのです。


カイロをほっぺたに擦り寄せて、貴女は柔らかい笑みを浮かべました。






貴女はまだ、こんな寒い季節だと
私よりもマフラーをとるでしょう?




手を繋げば、あったかくなるんじゃないかな、
なんて
思うのは私だけに決まってるので、
貴女が今きっと一番嬉しい言葉を探します。



ようやく神様は私の背中を押すようです。

舞い降りた結晶は彼女の肩に口付けて消えました。


「ロサ・ギガンティア」


どうせだからほんの少しだけジラすように、貴女の名前を呼んでから、間を置きました。



「ロサ・ギガンティアさえ宜しいのでしたら、暖かいお茶でもご一緒いかがでしょうか?」



おどける様にわざと何時もより丁寧過ぎる口調でつむいだ言葉は、上手くいなかくて
自分で思ったよりも硬い声が出て、悟られないように緩く笑おうとしましたが失敗しました。




耳が熱を持ちました。体温が五度くらい上がった気がしました。



ちらりと様子を伺うように貴女を見れば、




貴女はとても嬉しそうな顔をして頷きました。






end.

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