□先生争奪戦
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PM3:05 会場
「ガーデンパーティーなんてオシャレことするよね〜えりも。」
「田舎の小学校の同窓会とは思えないよね。」
「えり聞いてる?」
「…あ、ごめんごめん。なに?」
「誰探してんの?」
「いや…ふみこ、来てないなぁって思ってさぁ。」
「そういえば来てないね。」
「ってか招待したの?!」
「だって、同窓会なのに1人だけ呼ばないわけにも。」
「あいかわらず優しいねぇ。えりは。」
「やっぱり来るわけないよね。」
「そりゃ〜ね。卒業の頃とか完全に孤独だったじゃん。」
「ねっ。やっぱ、さすがのふみこも人数には敵わないってことだよね。先生も完全にこっちのことしか信じてないみたいだったし。」
「あれもうちょっと長かったらふみこ死んでたんじゃない?」
「え?知らないの?卒業前にふみこ廊下の窓から飛び降りようとしたんだよ?」
「うっそ。」
「で、先生がそれ見つけて図書室で話し合いしたんだってさ。」
「馬鹿じゃん。」
えりは耳元で声を聞いた。

「馬鹿でけっこう。」

ぞっとして振り向くことも出来なかった。

「えりどうしたの?」
「今…ふみこの声しなかった?」
「え?いないってば。っていうか声とかもう覚えてないし。」
「ゆうとともは聞こえなかった………ごめん気のせいだね…。」
「大丈夫?」
「ちょっと敏感だっただけ。」
えりはクラッカーを口に運んでごまかした。
その後、話はそれて思い出話へと変わって行った。
PM3:20 会場
「とも!ゆう!えり!!覚えてる?!」
「なるじゃん!ひさしぶり!!」
「いやーマジ変わんないね〜!」
「元気だった?」
「バリバリだから!!あ、さっきふみこ見たよ?呼んだんだね。」
「え?ホントに?」
ごく普通の驚き方をしたゆう・ともの隣で、えりは明らかに震えていた。
「えり?」
「罪悪感があるのはわかるけどさぁ。」
「もう10年も前の話なんだし。ふみこだってもう忘れてるよ?」
「あぁ、あの話。」
「うん。えりまだ引きずってんだよね。」
「忘れた方良いよ。あれは、先生も悪かったんだし。」
「う〜ん。」
「なるどこでふみこ見たの?」
「あんねぇ、入口のとこに立ってたんだよね。入る様子なかったから、誰か待ってんのかな〜って。」
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