メイン

□‡†未来がなくても抱きしめて†‡
1ページ/10ページ

「んっ…あ、和希っ………だめっ」
和希とたっぷり愛し合った後、和希の腕の中で見た夢は、和希とたくさんキスをする夢。
啄むような優しい接吻けがだんだん深いものに変わって、これから…っていうところで目が覚めた。
なぜって…和希が俺の胸に吸い付いて、おまけに指をアソコに入れてかき混ぜ始めたから。
「……ァアッ、和希…だめだって…。これから授業…」
だめ…とは言ったけど、夢の続きがしたくて、やっぱり和希を迎え入れてしまう。
和希とカラダを繋げるのは気持ちいいし、和希に愛されてるって感じたいから。
だから…最近は毎日こんな感じで、朝も夜も抱き合ってばかり。
そして遅刻の常習犯。
「ごめん、啓太。痛いか?無理なら今日は授業休もうか?」
「ううん、大丈夫。平気だから、そんなに心配しないで」
ベッドが壊れそうなくらいに激しく抱き合ったあと、和希が心配そうに声をかけてくれるのはいつものことなんだけど…、でも最近何かが違う。
普段より深刻そうな顔っていうか、本気で俺を心配してるんだよな…。
和希はいつも俺のこと一番に考えてくれて、本当に優しいのはよくわかってる。
痛くて気怠くて起きるのが辛くなるのは本当だけど、でもしょうがないだろ。
和希を愛してるから、和希を感じていたいんだ。
「啓太、2・3日…いや、一週間ぐらい休まないか?啓太のカラダが心配だし…」
「大丈夫だって。和希は心配性だなぁ。そんなに休まなくたって平気だよ」
「啓太は俺と、ゆっくり温泉に行きたいと思わない?温泉入ったら痛みも和らぐかもしれないぞ?」
ずっと二人きりだぞ、とウインクした和希の大人な表情に、俺はいちいちドキドキしてしまう。
ドキドキし過ぎて、カラダの奥が熱くなる。
和希とずっと二人きりってことは、キスしたり抱き合ったり、いつも以上に和希と触れ合えるってことだよな?
和希の体温とか、重なるカラダの重さとか、好きなんだよな…。
ずっとずっと、和希と一緒かぁ。
誰にも邪魔されないで二人で、たくさんたくさん愛し合うんだ…。
一週間和希をひとり占めって、いいかも。


イチゴを持って行って、和希と抱き合ったあとに食べようかな…なんて甘いことを考えていた俺は、それを後悔することになる。
和希との終わりが来るかもしれないなんて、考えたこともなかったから。
和希の優しさに気付かなくごめん。
でも俺は、本当に本当に和希が好きだから。
大好きだから。
だからお願い。
もう一度俺を愛して。


「わぁ…大きい旅館…」
和希の運転する車に揺られること数時間。
やって来たそこは、しっかりした門構えの高級そうな旅館。
こんな高そうなとこ、俺って場違いなんじゃ…。
でも和希はなんか…様になってるっていうか、高級な雰囲気が似合ってて、かっこいい…な。
「鈴菱様、ようこそおいでくださいました」
女将は意外に若くて、見とれちゃうくらいキレイで、すごく優しそうな人。
着物がすごく似合ってて、和希と並んでると、夫婦みたいに、お似合いに見える…。
間にいる俺が邪魔みたいな…。
……………いや。
こんなこと考えるなんてバカだな、俺…。
和希は俺を想ってくれてるのに…。
「どうぞ、こちらのお部屋でございます」
広いキレイな部屋に案内されて、緑の畳を見たらドキリとしてしまった。
この広い部屋に布団を一組。
いや──二組…かな。
でも使うのは一組の布団だけで、和希と一週間、たっぷり愛し合うんだ…。
そんなことを考えたら、ドキドキが止まらなくて…。
どうしよう。
早く和希とキスしたい。
早く和希と繋がりたい。
早く和希を感じたい。
和希の熱いの、早く欲しい…。
「鈴菱様のご滞在中は貸し切りとさせていただいております。どうぞ、ごゆっくりおくつろぎ下さいませ」
「ああ、ありがとう。それから、あれを頼む」
「かしこまりました。ただいまお持ちいたします」
深々と畳に頭を押しつけ礼をして、女将はいなくなった。
「和希、貸し切りって…」
「ああ、その方がゆっくりできるし、露天風呂だって二人きりだぞ?だから寮を出る前に電話で頼んでおいたんだ。今イチゴも持って来てくれるから、一緒に食べような」
「う…うん」
和希…、準備良すぎるよ…。
俺のために貸し切りって…、しかもイチゴまで。
和希と食べようと思って俺も持って来たのにな。
まぁ、俺のはあとでもいいか。
「啓太、あ〜んして」
「…あ〜ん」
「うまいか?」
「うん、おいしい」
女将が持って来てくれたイチゴを、二人で食べさせあった。
和希の膝に乗って、和希を正面から抱き締めながら。
イチゴを食べさせあいながら、イチゴの味のするキスを何度も繰り返す。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ