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□NoLoveLost
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P.S.One more thing
〜妖精の気まぐれ〜


 僕がはぐれてしまうと同時に、この物語もはぐれてしまった。
 またもや僕は、進むべき方向とは全く逆の方向に向かって、突き進んでいたことに気付く。確証はない。あるとすれば、僕が一歩踏み出した途端、それは進むべき方向ではなくなるということだけだ。

 僕は別の方法でトライする。ひどいもんさ。自分でもしょっちゅう何をしてるのか解らなくなる。
だけど、もっと酷いのは、本当に酷いのは、僕が普通の人ならそうするであろうことをする時だ。
 貴女への幻想を打ち砕く術は、いくらでもあります。でも、それが僕自身を打ち砕くことでもあると最近気付いて、かなり戸惑っています。
 僕は、僕自身の狂気の中で自分を見失っているわけではなく、僕自身に矢を放ち続けています。狙いは確かです。けして、とどめは刺さずに、とことん追い詰めてから、ありとあらゆる傷口に現実という粗塩を塗りたくってやるんです。(これは立派な治療法ですから僕は死にませんが……)
 貴女もしっかり現実を突き付けてくれました。これで完璧です。完璧な生き地獄の完成です。
 今では、貴女を失った分だけ僕自身を失わなければ気が済まなくなっている僕がいて、僕自身になり代わろうとしているのです。
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