story box

□NoLoveLost
29ページ/42ページ


W.Life work
〜ちっぽけな真実のために〜


 僕は今、僕が唯一連載を任されている週刊誌の編集部の一室にいる。
 資料室の横にある一面が曇りガラスで中途半端に仕切られた、せいぜい四畳半あるかないかの万が一の接客用に設けられているスペース……。まあ、普段は“サボリ部屋”に使われている場所だ。
 僕はギリギリまで作品を練るタイプ(格好良く言えば)なので締切日には、いつもここに来る羽目になる。
 二流作家には二流作家の生き様がある。
 それが僕のモットーだ。

 実を言うと毎回僕は、ここに来るまで何ひとつ書いて来たことがない。だいたい僕の殺風景な部屋で、一体何を思いつけと言うのか……。まあ、いい。早い話、僕はここに来たくて、わざと書かないのだ。動機は、不純かつ純粋なものだ。

 ここの編集長は、なかなかの面食いで、たかが週刊誌の編集部とは思えないくらい女子社員のレベルは高い。特に今年の新入社員の娘は、顔良し、スタイル良し、性格良しと、この上ない。

「今度の女の子は、いいですねぇ」

 これは、僕の連載を読んでくれている人たちのコメントだ。モデルは、もうお判りだろう。つまり、ここに来れば、自然と僕の作品は完成するのだ。
 二流作家には、二流作家の生き様がある。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ